- 2014-03-17 (月) 14:23
- 表具用語のご説明
表具(ひょうぐ)とは、布や紙などを糊で張ることによって仕立てられた掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖などの物。
または、それらを仕立てること。仕立てることを表装(ひょうそう)とも称します。
表装を職業としている人を、表具師(ひょうぐし)または経師(きょうじ)と言い、
それぞれの表具店で表装を行っています。
表具師の主な仕事内容には、掛軸、屏風、衝立、額、画帖、巻物などの修理をはじめ、襖の新調、張替、障子貼りなども含まれます。
古くは表補絵師(ひょうほうえし)と呼ばれていました。
表具の歴史
平安時代ごろ、遅くとも鎌倉時代に中国から伝来した技術と伝えられています。
経巻、仏画などを保護・装飾することから始まったのが表具の歴史です。
当時は経巻制作の実作業者のことを「装潢手」(そうこうしゅ)と称しており、「経師」は写経生を指す語でした。
室町時代、1494年(明応3年)に編纂された『三十二番職人歌合』には、はり殿(張殿)とともに「へうほうゑ師」(表補絵師)として紹介され、1500年(明応9年)に成立したとされる『七十一番職人歌合』の二十六番には、仏師と共に「経師」として紹介されている。後者での経師は僧侶の姿をしている。後に「ひょうほうえ師」と呼ばれる専門職として独立するようになったと考えられています。
「ひょうほうえ師」は、表補絵師、裱褙絵師(衤に表、衤に背)、あるいは表補衣師といった表記がなされました。
室町時代には寺院の床の間を民間がまねて設けるようになり、桃山時代に鑑賞用の表具がめざましい発展を遂げます。
また茶の湯の流行も表具の発展に影響しています。
茶の湯の世界で珍重された牧谿ら中国画人の作品であっても、表装が貧弱では売れず(『蔭凉軒日録』)、高価な絵ほどそれに見合った表装が必要という意識が読み取れます。